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美味しいお米を美味しい炊き方で! 阿賀野市の「蒸しかまど」


皆様こんにちは!
阿賀野市地域おこし協力隊の小寺です。
新米が美味しいこの頃ですが皆様はお米をどうやって炊いていますか?
今は多くの方が炊飯器だと思いますが、羽釜や土鍋を使って炊いたお米もとってもおいしいですよね!
昔は炊飯器がなかったので火をおこして羽釜や土鍋を使って炊いていたのでしょうか?
米どころ阿賀野市には昔ながらのお米の炊き方を復活させた人がいます。
今回は復活に至るまでの物語や熱い想いを紹介します。

電気がない時代の炊飯器!?「蒸しかまど」とは

「蒸しかまど」とは昔の日本で使われていた木炭で炊く陶器製の大型炊飯器で、江戸時代には北前船の中で、明治大正期には高級料亭や大きな屋敷で使われていました。
甕の中に釜を入れて使用し、少しの火力で最高の熱効率を発揮するので、素材の味を最大限に活かした極上のお米が短時間で炊き上がります。


阿賀野川中流でとれる豊富な粘土を使って作られ全国に普及していた「蒸しかまど」でしたが電気の普及に伴い昭和30年頃から最近まで姿を消していました。

落ち着いた風合いのいぶし色の蒸しかまど


「蒸しかまど」を復活させた(有)小田製陶所   

 一度姿を消してしまった「蒸しかまど」でしたが、小田製陶所の5代目社長である小田正雄さんを中心に、現在製造を再開しています。
 小田製陶所は明治6年創業で、古くから窯業(水甕、陶管などの製造)を営み、「蒸しかまど」の製造を行ってきました。2代目社長の時に「蒸しかまど」が広く使われ始めたことをきっかけに会社も拡大していきましたが、現在では時代の流れに合わせて、田畑で使う素焼き土管、園芸用品、建築資材の製造を中心に行っています。

工場の入り口


(左)出荷前の陶管(中)工場の釜の様子(右)出来たばかりの陶管

今の社員数は15名で、今回取材させて頂いた際には工場の皆さんとても優しく接してくださいました。

「蒸しかまど」復活の物語

電気炊飯器が主流となった今、なぜ「蒸しかまど」を復活させようと思ったのでしょうか?
きっかけは2012年、新潟県の五泉市にある咲花温泉の女将さんたちから「蒸しかまど」の実演の依頼を受けたことがきっかけでした。咲花温泉で当時の炊き方を再現してみたところ他からも依頼を受けるようになり、小田社長は「まだ需要があるな!」と思い、「蒸しかまど」の復活を決意しました。「美味しいお米を美味しく食べて頂きたい」そう決心した小田社長は商品化に乗り出しますが当時の蒸しかまどのサイズは1升炊きで、燃料も木炭のものしかなく、時代から取り残された蒸しかまどの復刻の道のりは険しいものでした。
 そこで「蒸しかまど」を今のニーズに合った形で復活させる必要があると感じた小田社長は首都圏の炊飯事情を調査し、1、5合サイズが必要であると分析しました。小型化が難しかった「蒸しかまど」ですが、愛知県三河の技術を使いなんとか小型化に成功し、さらに燃料も木炭から固形燃料を使用して炊くことができるようにしました。
 誰でも「蒸しかまど」が使えるようになったことで、今ではネット販売で多くの方から注文が入るようになりました。


復活の成功は小田社長の熱い想いがあったから

 今回、「蒸しかまど」の復活の経緯をお聞きするために(有)小田製陶所の小田社長にお話をお聞きしました。その中で小田社長の

昔の文化を現代の人にもつなげていきたい。
地元のお米を美味しく食べてもらいたい。
阿賀野市をもっと盛り上げていきたい。


という想いを強く感じることができました。
昔の伝統を守りながら、時代に合わせてさらに進化させていく姿勢や、そのために地道な調査や研究、努力をされたことを知り、「小田社長が熱い想いで取り組んだからこそ「蒸しかまど」を復活させることができたんだな」と感じました。
 阿賀野市の文化や地域のことをこんなにも考えている方がいることを知って、ますますこの阿賀野市を好きになることができました。

蒸しかまどと小田社長

さいごに


取材をとおして、きっと阿賀野市には地元を盛り上げていこうと頑張っている人たちがまだまだたくさんいて、いろんな角度から阿賀野市を支えているのだと感じることができました。これからも「住みたくなるあがの」を読んでくださっているみなさんに阿賀野市の魅力をお伝えするために、地域のために頑張っている方をどんどん紹介できたらいいなと思っています。
 今回ご紹介した「蒸しかまど」は現在道の駅あがので展示してあり、今後、道の駅あがので炊飯実演のイベントを予定しているとお聞きしてます。興味のある方はぜひチェックしてみてください。
 皆さんも「蒸しかまど」のご飯を食べてみませんか?

道の駅あがの 復刻版蒸しかまど

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