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住みたくなるあがの【阿賀野市公式】
2023年12月28日 14:37
「昔の人は楽をしようなんて、誰も思っていなかった」 貢さんが炎天下で農作業を終えて言った。その言葉の背景には、貢さんが暮らす笹神地区の地域性が深く関わっていると思っている。 笹神地区は「ゆうきの里」として全国的に有名な有機農業の先駆的地域である。1988年、地域振興を目的とした「ふるさと創生事業」で、国が全国の市区町村に1億円を交付したことがあった。使い道は各自治体の自由で、旧笹神村はそ
2023年12月22日 16:11
「かなり余らせてしまいました。歩くのがかなり速かったんですかね。どうしましょう」と貢さんに対応を委ねる。ノズルとホースの接合部分を間違えて緩めてしまったのか、飛び散った薬剤で私のズボンはビタビタに濡れている。「余ったら、そこを往復すれば良い」と畝を指さす。それ以上は言わない。貢さんがビタビタに濡れた私のズボンを不思議そうに眺めながら、接合部分を締め直して、ホースを手渡してくれた。「じゃあ、
2023年12月15日 16:24
エダマメ畑は水田からの転作で水持ちが良く、ところどころ、少しぬかるんでいる。油断すると足をとられてしまう。それでも、ホースを手に持って快調に進む。だが、70メートルを過ぎたあたりで、ホースを重く感じるようになってきた。一歩進むごとにホースを持つ腕が重くなる。ホースを伸ばすごとに、その重量も増えて負荷がかかっていく。顎が上がり、視界には夏の青空が広がっている。「坂の上の雲」のような一朶(いちだ)の
2023年12月13日 11:20
貢さんは76歳、私より20歳以上年長だが、とにかく体が動く。単純に体力がある、ということではない。どんなに疲れていても、作業の所作が丁寧なのだ。肉体と精神を繰り返し鍛錬してきたような、強靭さがある。 私は疲れてくると少しでも楽をしようと所作が雑になり、貢さんのような強靭さがない。一緒に仕事をすると、それがよく分かる。貢さんと一緒に農作業をして最初に学んだことは、私が百姓になるにしては「なかな
2023年12月12日 11:25
「それは霊感ヤマカン第六感ってやつで、こういうのは手本があって手本がない。創意工夫しながらやって、そのうち仕事が教えてくれる」 禅問答のような言葉だが、不思議と、この言葉の意味が一緒に農作業しながら少しずつ分かってきた。 百姓仕事の師匠である田村貢さんは細かな指示は出さない。初対面ならぶっきらぼうと思ってしまう人もいるだろう。ただ、一緒に農作業をすると、短い言葉で端的に核心をついているこ